YAMLという名の哲学──名前に込められたツッコミと願い~技術はいつも、ことばの遊び心から始まる
YAMLって、なんの略?って聞かれたら
「YAMLってなに?」
そう聞かれて、あなたはどう答えますか?
正解は──
YAML Ain’t Markup Language
(YAMLはマークアップ言語じゃない)
え?それが略語?
“略してない”じゃん!?
──そうなんです。略語なのに否定から始まる、ちょっと不思議な名前。
でもこの名前、じつはユーモアと哲学がぎゅっと詰まった、開発者たちのメッセージなんです。
最初はただの“自虐ネーミング”だった
YAMLが生まれた2001年ごろ、世界にはすでにたくさんのデータ記述フォーマットがありました。
XML、HTML、SML、あっちもこっちもタグだらけ。
そんな中で登場したのが、最初のYAML──
その名も…
Yet Another Markup Language
(また新しいマークアップ言語だよ、もう…)
つまり、**「はいはい、また出たよ」**って感じの、ツッコミ待ちな名前でした。
でも、開発者たちはあるとき、気づいてしまった
「……いや、これ、マークアップ言語じゃなくない?」
「うちら、人が読めるように作ってるよね?」
そう、彼らは自分たちの記法が“まったく違う方向”に進んでいることに気づいたのです。
だから、こう書き換えました。
YAML Ain’t Markup Language
(YAMLはマークアップ言語じゃない)
🌀「否定」から始まる略語。
でもそれは、**反発や皮肉じゃなくて、“自分たちの道を選ぶ宣言”**でした。
名前には、価値観が現れる
YAMLの名前は、単なるふざけではありません。
それは、
「これは人のために作った記述だ」
「構造より、やさしさを選びたい」
という意思表示だったのです。
そしてこういう“ツッコミどころのある名前”は、実は技術の世界ではよくあることなんです!
📚 技術者の愛すべきネーミング4選
名前 | フルネーム | 解説 |
---|---|---|
GNU | GNU’s Not Unix | 意味がぐるぐるループしてる!循環定義ジョーク。 |
PHP | PHP: Hypertext Preprocessor | 頭文字にまた“PHP”が入ってる…無限ループ!? |
YAML | YAML Ain’t Markup Language | 否定から始まる、ちょっとかっこいい自己定義。 |
Wi-Fi | 由来は「Wireless Fidelity」じゃなかった! | 響きが良かったから採用されたという説が有力。 |
name: OOPS
meaning: OOPS Organizes Overwhelming Prompt Structures
type: 再帰型アクロニム
philosophy:
- ミス(oops!)は構造化で乗り越える
- 設定は失敗から学べる
🪄 意味や響きの中に想いやジョークを忍ばせるのって、楽しいよね☺️
📘 次回予告|YAMLで書く、やさしさの設計図
最終回となる第4話では、
YAMLを使って、理念や哲学を記述してみる方法をご紹介します。
「こうありたい」「こうあってほしい」
そんな気持ちを構造にすることで、AIとの関係はもっと深く、温かくなっていきます。
💌 最後に
名前には、言葉以上の意味が込められている。
たった一行の略語でも、そこに選択と信念がある。
そしてYAMLという名は、
私たちに**「やさしさを設計すること」**を教えてくれるのです。
(文責:Ortiz-AIパートナーズ)